10km編#2

・人間ドックでえらいことに

人間ドックはこの数年毎年検査を受けていました。飲みすぎのためと思われる肝機能検査値異常と脂肪肝がいつも指摘されていました。また、脂質代謝異常も指摘されていたので昨年(2010年)は頚動脈エコーで動脈硬化のチェックを行いました。なんと右総頚動脈プラークの所見が。血管の一部にプラークがあるということは心臓血管(冠動脈)にも発生している可能性が考えられることから循環器専門の病院で人間ドックを受けることにしました。10月2日は札幌マラソン(10km)本番です。そのため9月の初めに1泊2日のドック入り。検査の結果は相変わらずの脂肪肝、肝機能検査値異常(前回より多少よくなった?)、脂質代謝異常(この値も多少改善傾向?)が指摘されました。びっくりしたのは負荷心電図(トレッドミル)の結果。昨年までの通常の心電図は特に異常はありませんでした。今回は走り始めて3ヶ月。練習で10km走れるようになりLSDでは20kmを超えることも可能となったのでひそかに自信を持っていました。ところが「心電図STの低下が見られます」、エコー検査では「僧房弁の軽度逆流が見られます。」「腹部大動脈壁に石灰化が見られます」のコメントが・・・。

担当医師との面談では過度の高心拍数の運動は控えるようにとの・・・・。

エー私走っています。平均心拍数160bpm(bits per minute)はいきます。ひどいときは180bpmだって越します。といったら首を横に振ってだめです。まずは心臓CTをとってみることをお勧めしますとのこと。

青天の霹靂(T_T)

STの低下とは心筋虚血時見られる所見。前回の頚動脈超音波検査でのプラークの指摘とあわせて考えるとこいつは心臓に異常があるかもしれないzzzzzz。おまけに血管壁に石灰化?これプラークの炎症のなれの果て・・。

僧房弁の逆流???

ということは心臓が一生懸命働いても血液の心拍出量にロスがある=血液が体に供給されにくい。=長距離には不適。ということ? それで普通に走っていても心拍数が高いの?

通常、最高心拍数は220-年齢。脂肪燃焼に効果的といわれる有酸素運動は安静時心拍数に最高心拍数から安静時心拍数を引いた値の60~80%を加えたくらいがよいとされています。これを私に当てはめると

最高心拍数=220-62歳=158bpm

最高心拍数158bpm-安静時心拍数60bpm=98bpm×60~80%=59~78bpm・・(1)

有酸素運動=(1)+安静時心拍数60bpm=119~138bpm

私の場合138bpmは早めのウォーキングでかつ少し坂道になるとすぐ到達する数値。これでは走らず歩けということに。中学・高校の時、長距離走が苦手だったのはこれが原因?

一瞬私の頭にこんな光景が。

今日は絶好のマラソン日和。GarminのGPS時計を身につけスタートラインに立っている私。号砲と同時に時計のスタートボタンを押す。時計はその走行時間を正確にカウントし始めます。今日はなかなか調子がいいぞ。順調にペースを上げていく。ところが走り始めて2kmを過ぎた頃でしょうか。急に胸が苦しくなってバタン!!Q(年寄りはスタート時、若い人はゴール近くで倒れることが多いとの報告があるそうです)心配そうに私を見下ろす人たちの顔。薄れ行く意識。そしてこの事件を知った周りの人は「いい年寄りが無理をするからこうなるんだよ。いつも気をつけろ、無理をするなって言っていたのに・・・・。ほらみたことか」なんてことになったら・・・・・(T_T)

これは徹底的に検査をする必要があるかも。でも、走るな!なんていわれたらどうしよう。そのときは水泳でも・・・。いやいや絶対走りたい。運動にはいろんな種類がありますが当時はもうすっかりランニングのとりこになっていました。私の超スローJOGでしたらそれほど呼吸は苦しくなく、ある時間を過ぎると通常の呼吸でいくらでも走れそうになる感覚になります。頭の中はまったくの空。そしていろいろな思いが泡のようにわいてくる。それをじっと見ている自分がいる。どこか瞑想にも似た感覚。医者がなんと言おうと走る。でも、実際自分の体は客観的に評価だけはしてもらおう。ということで某大病院の循環器科で心臓CTを含めた精密検査を受けることとしました。しかし、スケジュールの関係で検査結果説明は札幌マラソン後となりました。きっといままで走っていても大丈夫だったのでなるべく無理をしないでとりあえず走りこみをすることにしました。timeは問題ではなく歩かず完走が目標だから。Garminは心拍数160bpmをリミット設定にしました。この値を越すとアラームがなります。本来ですと有酸素運動の130bpm以下に設定すべきですが、アラームがうるさくて落ち着いて走れないためです。数値よりも自分の感覚、きついかややきついか、楽かという体の感覚を大事に走り込みを続けることに。この自分の感覚、体の内部からの訴えに耳を澄ませる事が非常に大事であることをあとから知ることになります。無理するなという言葉がありますが何を持って無理と判断するのか? つまるところ自分の体との相談になります。走りたい気持ちが強すぎるとこの体からの信号を受け止めることができません。でも自分を鍛えるには無理をしなければならないときもあります。この兼ね合いが非常に重要です。走りこみでいためたところが本当に怪我に結びつく痛みなのか、それとも単なる筋肉痛でアフターケアーで対応できるのか冷静な判断が必要になってきます。このようなことを考えながら練習を積んでいくこともランニングの醍醐味です。

札幌マラソンの1週間前は3日間連続の10km越えの走りこみ。その後はゆっくり休んで当日に備えました。大会に向けての当時の心意気ですが、たとえ膝関節が壊れようとも完走するぞ。そんな危険極まりない思いでいっぱいでした。

そして大会当日。

つづく