2016函館マラソンプロローグからの続きです。
2016年6月26日(日曜日)函館マラソン当日
ホテルの部屋の中にいても風の音が聞こえています。
当初は函館空港のジェット機の音かと思いましたが風です。
昨年の奥尻ムーンライトマラソンを思い起こします。
あの日も朝起きると風と雨の嵐状態でした。
ホテルの窓から様子を見てみると幸い雨は降っていないようです。しかし、木の枝が大きく揺れています。
大会終了後の発表によると9:00現在の気象は
天候・くもり
気温・15.5℃
湿度・89%
南西の風3m
と発表されています。
この気温で外での長時間の出走待ちは避けたほうがいいとぎりぎりの会場入りを決定。
幸いホテルは会場の千代台陸上競技場のすぐ近く。とりあえずゆっくり朝食をとることに。ホテルの一階食堂には7:00前にすでにランナーの姿が。
朝食は前日に予約をしておいた和食です。
今までの大会では大会当日もカーボローディングと称してカステラを食べてみたり通常食+餅にしてみたりして多めの食事をしていました。しかし普段と違うことをするとろくなことはありません。やり慣れないことをしてレース中におなかが痛くなったことも経験しています。
ここは気張らずいつも通りの食事にしました。
スロージョギングを推奨する福岡大学の田中宏暁先生によると大会当日の高炭水化物食の有用性は根拠がなく科学的検証もされていないとのことです。その理由は大会2~3日前からカーボローディングを行っていれば前日までに十分な筋グリコーゲンが蓄積されているので当日はなるべくインシュリン分泌を抑える食事にするべきとの説です。そのため高脂肪高蛋白質の食事で必要以上の炭水化物やら糖分の摂取を避けること。特にスタート15~45分前の糖の補給はインシュリンの分泌を促し低血糖(いわゆるインシュリンショック)を起こしスタミナをなくす恐れがあるそうです。
さて、今回の戦略です。
前日コースを車で下見をしてきましたが、勝負は30km以降のJR函館線跨線橋と ともえ大橋のアップダウンです。特に第5折り返しからゴールへの復路 ともえ大橋と跨線橋をどう乗り切れるか。レースの終盤に足がどれだけ残っているのか。そのためにはレース序盤7~15kmのちょうど体が温まってきてどうしてもペースアップしがちなところで意識して抑える気持ちがポイントか。そしてペースはイーブンペースのk7分~6分30秒。決して後半の落ち込みのための貯金なんてことは考えない。
あとは昨年の北海道マラソンでは給水に水のみを摂取したためか後半に下肢の痙攣に悩まされました。今回はなるべくスポーツドリンクを摂ることに。かつ
エネルギー切れに備えて少しずつでもこまめに給食をとること。
今回は1週間前からカーボローディンの作業を行いましたが何せおちょこちょいのみねごん。どうも怪しげなカーボローディングです(プロローグをご参照ください)
ところで今回の大会では幸か不幸か携帯電話の持ち込み&使用が禁止されています。いつもの大会では走行中スマホでの写真撮影も気になるところでしたが、今回は不可です。余計な気遣いをする必要もないとなればプラスかもしれません。
さてみねごん一家(ハーフの奥さんと2人だけですが・・) 集合時間の8:30の10分前に会場到着。多くのランナーがトラックをジョグしています。みねごんは余計なエネルギーを使わないようゆっくり集合場所の芝へ移動。天然芝です。立派な競技場でこんな競技場はみねごん初めて。クラス別に集合です。みねごんFクラス。ゼッケンはF8887で末広がりのラッキー7。
クラス分けも珍しいハーフ・フルの混合です。
気になる足底の水膨れ、魚の目、ひざの痛みは感じませんが実際に走ったらどんなことになるか見当もつきません。
今回の函館マラソンは北海道新幹線開業記念でもあり高橋はるみ北海道知事も来函。知事の号砲を合図に一斉にスタートです。例によってぞろぞろ移動しますが前方ではなく横に移動です。何がどうなったかわからないうちにトラックに移動しています。慌ててガーミン君のスイッチオン。スタートゲートでもう一度ラップを刻むスタートボタンをぴっ。心なしかトラックの路面が脚に優しく感じます。
すぐに競技場を出てさあ出発です。今日はどんな経験をできるのでしょう。
最後のカーボローディングから中3日一切の運動は避けていたせいか筋肉痛もなし、呼吸も比較的楽、足底部の異変も特になし。やることやったのでトラブルが起きたらその時考えることに。相変わらず風は強いが順調にリズムを刻んでいます。当初の予定通りk6min45sec前後です。
最初のエイドは5km付近。相変わらず混んでいます。とりあえず給水を試みるが足元が水浸し状態。
2013年の北海道マラソンの折り返し付近で大雨にあいシューズを濡らしてしました。このことが原因で足に豆を作ってしまったことがあります。それでなくても今回は足底部の水膨れ&魚の目の影響が心配されるのでシューズを濡らすことは避けたいことから給水はパス。
放射4号線と呼ばれる陸上自衛隊前の道に入る。
ちょうど津軽海峡からの猛烈な向かい風。帽子が飛ばされそうになる。慌てて押さえるがこれは一層のこと手に持ったほうが安全と帽子をとる。
その時に何かが一緒にポロリと落ちる。
ン・・。目の前が急に明るくなったゾ・・と思ったら私の大事なサングラスが…。
あぁ~~と思って振り返ってみるも人・人・人・・・・。
ここで引き返したら危険がいっぱい。涙を呑んであきらめる。
走り始めて5年間連れ添った大事な大事なオークリーのサングラスとお別れすることとなりました。
きっとこれは神様がサングラスと引き換えに私の足の不調を押さえてくださるためのささげもの・・・と無理に自分を納得させる。(;_;)/~~~
でもこれで足が痛くなったら最悪・・・なんてウジウジ考えているうちに漁火通にでる。ここを左に曲がり湯の川温泉方面へ。すぐ右手は海なので海風が半端ない。湯の川付近にはハーフの折返しがあるのでハーフのランナーとすれ違います。
湯の川のハーフ折り返し地点を函館空港方面に進みますがここから上り坂が続きます。風が追い風気味のせいかペースは変わらずk6min45sec前後で進みます。フル10km関門1時間10分51秒通過。これではk7分はオーバー?。
ただ、スタート時のロスタイムが3分30秒くらいあったはず。そうするとまあまあのペース?。
制限時間からみると10分の貯金。だめだめ貯金のことを考えたら…。自分のペースを守って。
第1折返し(10.2km)過ぎのエイドでは早速スポーツドリンクで給水。のどの渇きは特に感じないが早め早めの給水です。
給水後は下り坂で向かい風。ところが対向車線には北海道マラソンでも経験したあの回収車が4~5台続いて第1折返し方面にゾロゾロと前進しています。北海道マラソンの時は焦りましたが今回は見慣れてきたせいか淡々と先を急ぎます。湯の川に向かう国道278号線(漁火通)に出る手前の道を左に曲がり函館空港の滑走路を左に見ながらアップダウンの一本道を進みます。相変わらず右の海から強い風が吹いています。道端には車いすのお年寄りにこの強い風の中応援していただきました。第2折り返し地点(14km)を折り返します。ここでエイドです。エネルギー補給 バナナをいただく。やっぱり回収車が付いてきます。中を覗き込んでみるが人影は確認できません。ここから漁火通までは強烈な向かい風です。おまけに時折雨も降りだしてきました。足元に注意しながらなるべく水たまりを避けて走ります。幸い左足底の水膨れは静かにしていてくれます。怖いのは右の魚の目。少し外側にあるので母指球と小指球の間に体重を乗せるようにすればなんとかいけそう。
漁火通もそろそろ終わりの地点ではまたまた折り返したランナーとすれ違います。函館マラソンフルは折り返し地点が5か所もあります。それだけ前後を走るランナーとすれ違うのは安心感があります。また直線コースだけでなく変化のあるルートは気が紛れます。
漁火通から函館駅方面に曲がり、電車通りを左に折れます。途中お年寄りの浴衣姿の応援団が大きな声で応援しています。思わず近くによってそれに応えます。こんなやり取りも気が紛れて力が出ます。もう22~3kmは走っているはずです。いつもはこの時点で下腿部の筋肉がひきつき始めますがそんな兆候はありません。ペースはk7分前後。多少ペースは落ちているか? それでもアゲインストの風の中まあまあのペースです。
第3折り返し地点(25.3km)です。この辺も上ったり下ったりです。上りは急がずリズムをとります。ガーミン君で確認するとk7分をわずかながらオーバーがつづきます。しかし苦しさは感じません。再度漁火通にでてすぐに大森橋を渡ると左に折れ亀田川沿いを北上。ここでエイド発見。なんと五勝手屋羊羹丸缶一本配布中。丸缶の底を押していただく。一本丸まんまは脳天に快感が走る。疲れも抜ける。これは効きましたよ。元気を出して30km向かいます。30km関門3時間30分12秒通過。想定より10秒遅いだけ。この調子でいけば・・・と言いながら勝負はここから。問題の跨線橋とともえ大橋のアップダウンが続きます。最初の上り坂JR函館本線跨線橋の上りです。さすがにk7分をオーバーですが、焦らず前に進みます。上りきり下りに差し掛かると対向車線には40kmのタイム表示板が設置されています。ちらりと見ると3時間38分の表示が。このあたりを走っているランナーはきっとサブ4達成可能のランナー達です。私は後10km近く走らなければなりません。道は遠い。
この坂を下りきりしばらく行くとぐるりと反転していよいよともえ大橋です。ここのエイドではコーラを補給。普段コーラを飲むことはありませんが走っているときは本当においしい。ここからアップダウンが続きます。しかし前方には函館山、右手には函館湾を望み景色は最高です。いつものフルマラソンでは周りの景色を楽しむことなどできませんが、今日は周りを見回す余裕があります。雨も上がってきました。リズムをとりながら先を進みます。
赤レンガ倉庫街を通過。第4折り返し地点に向かいます。
途中拡声器からゼッケンナンバーを読み上げながらの応援コール。私のゼッケンナンバー8887(末広がりのラッキー7)も応援していただく。
お調子者のみねごんすぐその気になり元気になった気になるもののペースは相変わらずのk7分越え。
第5折り返し地点では盛りだくさんのエイドがあったようですが、やっぱりバナナのみ摂取。
夕張メロンやらラーメンやらがごめ丼などはとんと見かけずじまい。
さて最後の難関 復路のともえ大橋です。
最初の上り坂に差し掛かると前方に何やらスタイルのいいお嬢さん2名とカメラマンが並走中。どうもNHKのランスマの撮影のようだ。
お調子者のみねごんここで頑張る。そして追いつきましたよ。
ちらりと横を見るとなんとあの美人ランナー真鍋未央コーチではありませんか。
彼女には2012年の8月 北海道マラソンの前日、札幌のレストラン主催の「美活runイベント」のランニング講座でご指導を受けた経験があります。その当時はまだ走り始めて1年ほどの新米ランナー。ランニングの右も左もわからない時です。主催者のターゲントはおそらく若い初心者女性ランナーだったと思いますがその中におじさんが。私だけではなく他にもおじさんいましたよ。そこでは真鍋コーチに優しく声をかけていただいて当時の新米市民ランナーとしてランニングに対する熱い思いをお話しさせていただいた記憶があります。
撮影中にも関わらず思わず声をかけてしまいましたがおそらく私のことは記憶はないと思いますが「こんなところでおあいするなんて・・」と返していただきました。お調子者のみねごんこれで元気100倍。ランスマグループを抜き去り久しぶりのk7分切りです。
しばらくいくとまたまた見覚えのあるランナー発見。
神奈川県から来道のHR氏。
2014年6月千歳JAL国際マラソンでSNSのお友達を介してfacebookのお友達になったラン友です。スタート時にも気が付き挨拶はしていましたがこんなところでお会いするなんて…。
思わず声をかける。しばらくおしゃべりラン。
こんな一番苦しい時間帯にに2つものイベントを経験し疲れも気にならずなんとラッキーなことでしょう。
先を進む。
函館マラソンフルのコースも終盤です。
みねごん相変わらずリズムをとりながら走り続けています。
今最後の跨線橋の上りに差し掛かりました。
左手前方には40km関門のデジタルタイム表示板見えてきます。この関門を過ぎればあとは下り。先ほどから左右のふくらはぎがひくついていますがゴールまで持ちそうです。
昨年の北海道マラソンでは20km付近からすでに下腿部の筋肉それも前脛骨筋の痙攣が始まっていたのに比べると上々のできです。前脛骨筋が勝手にひくつくと足首が上がらずけつまずく恐れがあります。顔面を路面にたたきつけてしまうのではないかと気が気ではありませんでしたが今回はその心配はないようです。
40kmを4時間42分20秒で通過しました。制限時間20分前です。
昨年の北海道マラソンの40km通過時間は4時間44分22秒。2分ほどの違いですが体の動きが全然違います。一言でいうと今回はよれよれ感がありません。戦前右足の魚の目、左足足底部の水膨れそして右ひざの不調など完走は無理かもしれないと弱気になっていましたがこの調子ではきっと楽にゴールできるかもしれません。
おそらく・・・、たぶん。
どうですこの余裕のある表情。
千代台陸上競技場手前のみねごんです。
奥さんがハーフ完走後ここでシャッターチャンスを狙ってくれてました。
足は撮れていませんが間違いなく走っています!!
この後千代台陸上競技場のゲートをくぐりますが、直線コースでは久々にラストスパートをかけることができました。
フルマラソンでこんなに余裕を持って走り切ることができたのは初めてです。
歩かず完走で結果は
Gross Time 4:56:46
Net Time 4:53:10
総合順位 2367位
ちなみにその後の新聞報道によると
フルの完走者数は3668人とのこと
決して自慢できるタイムではない。
しかし満足感いっぱいの函館マラソンでした。
ところでこのタイムでもPBなんです。
でもほんの2分くらいの差です。
それなのになぜこんなに充実感があるのでしょう。
考えてみました。
一言でいうと自分の戦略通りの準備と走りができたからではないかと思います。この一連のプロセスを曲がりなりにも実行できたことが重要だったのかもしれません。
2012年 サラリーマン生活からリタイヤ生活に変わりました。
それまでは好むと好まざるとにかかわらず目標を設定しそれに対する戦略を立てその戦略にのっとって毎日の業務行動をとる毎日でした。
ところがリタイヤ生活に入るとがらりと環境が変わります。
何をしてもいいし逆に何もしなくてもいい生活です。
幸い私はリタイヤ前にランニングと出会うことができました。
ランニングと出会うことで目標を定め、それに向かって多少なりとも努力することで生活のハリを感じることができました。
サラリーマン時代は目標を自分で設定することばかりではなくむしろ会社からの指示のほうが多いものです。ところがリタイヤ生活では自分の好きな目標を自由に設定しそれに向かってトレーニングしていくことができます。
その一連のプロセスから楽しさそして充実感を得られるのかもしれません。
さて上半期の一番の大会も無事終了しました。
下期の目標
10/2 別海パイロットマラソン ゆっくりと休んでから始動です。
2016/7/1 記
【おまけ】
大会終了後、左足底部の水膨れはハート型に変化していました。
それともこれはミッキーマウス型?
いずれにしてもラッキーな大会となりました。